HiromiVoice

声で人を豊かにする、をビジョンに掲げるナレーター酒匂ひろみの日記

「イスラエルがすごい」を読んで

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アイキャッチ画像:edu_castro27

同内容は、音声配信もしています

みなさんこんにちは、ひろみです。

気がつけば最後の更新からはや4ヶ月・・。あっという間に8月下旬となりましたがいかがお過ごしでしょうか?個人的に書くよりも話す方が好きなのでついつい、ブログではなく音声配信でつらつらと語ってしまいます。おかげさまでリスナー様も増え、DMなどでご感想いただくことが増えてきました。またラジオをきっかけにお仕事のご依頼をいただくこともあり、とても嬉しく思います。ありがとうございます。独り語りではありますが、マイクの先に聞いてくださる方がいると思うと、話している私が癒される不思議。Again,聴いてくださるみなさまありがとうございます!

さて、今日書く内容はこの後ラジオでも流そうと思っているのですが、感じたことが多すぎて、まずはここでまとめないと話が突散らばっちゃうような気がして話す前に書くことにした次第です。

突然ですがみなさんは、Google検索を日常的に使いますか?

ほとんどの方がYESだと思います。そして一文字入れただけで瞬時に候補をサジェストしてくれる機能、便利ですよね。こちらも当たり前のようにお世話になっているはず。

実はこの「グーグル・サジェスト」と呼ばれる技術は、イスラエル人が開発したそうです。

そう、最近読んだこちらの本。その名も「イスラエルがすごい

購入したのはうんと前。確か出版された2018年11月ごろだったと思います。家の近くの本屋に行ってふと目についてすぐさま手に取ったこの本。というのも、最初に務めた会社で初めて受けた海外からの電話がイスラエルで、また、前職でイスラエルがいかにテクノロジー国家で凄さまじいか、を面接でお越し下さった方から聞いていて興味があったからです。

さらに筆者の熊谷徹さんは約30年間も住んでいる方。実際に異国の地へ渡られた方が日本とイスラエルの様子を語っているという内容に、ものすごい価値を感じたのです。旅行で海外へ行くのと住むのでは全く違います。ましてや30年近くも海外に住んでいる、筆者にしか語れないことがあるのだろう、これは途轍もない資料だと思いました。(なんか重たいですねw)それでいて日本に対する熱い思いをお持ちになっている。必死に警鐘を鳴らされている。これは読みたい!!と即購入。

見出しは以下の通り。

第1章 中東のシリコンバレー〜日本人が知らないイスラエル

第2章 イノベーション大国への道〜国家戦略と国民性〜

第3章 恩讐を超えて〜関係を深めるドイツ〜

第4章 急接近する中国〜一帯一路だけではない〜

第5章 出遅れた日本〜危機とビジネスチャンス〜

イスラエルで今何が起こっていて、欧米や中国がいち早く注目・行動している中、日本は完全に出遅れている現実を示しています。

また、イスラエルがここまで成長した歴史的背景から国家戦略、国民性について言及し、歴史を超えて成長しようとするドイツにも触れ、最後に日本が出遅れてしまった原因、そして今後について語られています。

読み終えるとなんともまぁ情けない気持ちになるのですが、ここから頑張るしかありません。戦後、すさまじい成長を遂げたと言われる日本が、なぜ今もはや先進国ではないと言われるまでになったのでしょうか?(参考:https://www.huffingtonpost.jp/entry/son-japan-ai_jp_5d3127dee4b004b6adad7409)

については筆者の言葉を借りつつ私の考えを述べさせていただくとして、簡単に本書の中でインパクトの強かった点をご紹介します。

この本の中で熱く(と私は受け取りました)言及していることの一つにイスラエルの国民性があります。一体どんなものなのかというと

失敗することを恐れてはならない。失敗は、むしろ良いことだ。

失敗を恐れていたら、新しいことに挑戦できない。萎縮して新しいことに挑戦しないことの方が、失敗するよりも悪い。我々イスラエル人にとって、失敗することは不名誉ではない。

イスラエルがすごい」第2章104ページより

イスラエル人の学生は、講義の時に教授を質問攻めにする。彼らは家庭で「あらゆることについて、疑問を抱け。納得するまで質問しろ」と教えられているからだ。

イスラエルがすごい」第2章105ページより

という、権威や恐れに屈せずに意見を堂々をいうもの。これらは筆者曰く、ユダヤ教に根元の一つがあると言います。

さらに、中世以来の迫害も背景にあると言及しています。ユダヤ人がナチスに迫害された悲しい歴史(ホロコースト)、この苦い経験が「あらゆる伝統や常識はあっけなく崩壊しうる」という危機感と、「自由と独立、自分の頭で考えるということがもっとも重要」だという価値観を受け付けたのではないか、と。

こうした国民性は、国家戦略である特殊部隊でも大きく力を発揮しています。

皆さんは、8200部隊という言葉を聞いたことがありますか?

8200部隊(Unit 8200)/イスラエル諜報機関

独立以前から存在した「シンメン2(ヘブライ語で「新たな軍務」)」が1973年の第4次中東戦争後に再編成され生まれたIT産業研究開発のハブ。実態はほとんど知られていないが、イスラエル軍の情報作戦には欠かせない諜報機関。(https://forbesjapan.com/articles/detail/15474/3/1/1 より引用)

だそうです。この本にも8200部隊のすごさについて書いてあります。そちらは読んでいただくとして、この部隊についてこんな記事を見つけたのでシェアします。

「具体的に何をすべきかは誰も教えてくれません」とスクレルは言う。

「単に『問題はこれだ。解決してこい』と言われるだけです。それも厳しい期限付きで。だから我々は創作し、“起業家”的になるのです」

https://forbesjapan.com/articles/detail/15474/3/1/1

彼は部隊の流動性を評価している。兵役期間は平均4年だが、この最先端の技術部隊でも毎年25%ずつ人員が入れ替わる。一般の大企業ならギョッとするような数字だが、動きの速いITの世界ではこれが大きなメリットになると、ザフリルは主張する。

「毎年若さと賢さ、やる気と情熱を持った男女が入ってくるのです。新たな視点から課題に目を向ける者たちがね」

https://forbesjapan.com/articles/detail/15477/2/1/1

このように、国家戦略として「起業家」が育てられていく。かつ、10代にして国家事業に携わるため愛国心も養われると言います。

こうした国と日本を比べた時、皆さんはどのように感じますか?私は一人、このままでは日本は飲み込まれてしまうなと危機感を感じます。

出遅れた原因に以下のものがあると筆者は述べています。

①日本企業が新しい技術や製品を自社で開発することを目指し、他人の力を借りようとしない「自社開発・調達主義」

アラブ諸国の恫喝を恐れたため(アラブ諸国と取引がある日本企業の多くが、彼らの機嫌を損なわないようにイスラエル企業との取引を避けていたそう)

②に関して現在は緩和されてきたそうですが、1に関しては納得です。私の知っている企業でも、大企業とのイノベーションを起こすために立ち上がったものの、先方の態度はあくまでの「外注先の一つ」。企画プレゼンをしても「社内で検討」「アイデアだけ持ち帰り」といったことが多いと聞きました。

島国ならではなのでしょうか?他人を受け入れづらい、と言う特徴は企業単位でも顕著に感じます。

筆者によると、2010年代に入ってて日本政府とイスラエル政府も関係の緊密化に乗り出したと言います。そういえば、最近スーパーでもイスラエル産のオレンジなど、目にしますよね?イスラエルで農作物が取れるんだ、と意外に思ったのを覚えています。オレンジといえばアメリカ、と言う印象もあったので。

2015年には安倍首相がイスラエルへ訪問。なんと9年ぶりだったそうです。この空白期間の長さについて筆者は「いかにイスラエルを軽視してきたかを物語る」と指摘しています。

ところで皆さんは、「インダストリー4.0」と言う言葉をご存知でしょうか?

私がこの言葉を知ったのは、昨年社説を読んでいた時でした。ドイツでは国家をあげてテクノロジー対応を急ぐべく、このプロジェクトが立ち上がったものの、ナチスの記憶が抹消されていない国民にとって、個人情報をデジタル化するなどは監視されるようで抵抗感があり、思ったように進まない、そんな記事だったと思います。当時日本では2019年10月の税率UPに合わせてキャッシュレスを進めたいが、還元キャンペーンが複雑なのでスマホマップを作ることで対応する予定、と言う内容が出ていたと記憶しています。

なんと言うか、内容の視点が違うと思いませんか?

インダストリー4.0について、第4章で筆者も触れており、これに比べて日本政府の動きの遅さ、いわゆる国際情報への関心の低下は「大手メディアの責任も大きい」と指摘しています。

私は毎年必ず一度は日本に行くが、そのたびにメディアが内向きになりつつあると言う印象を抱く。人気があるのは日本の良い点をほめるテレビ番組や、「日本以外の国はこんなにひどい。日本人が外国から学べることはもはや何もない」と言う類の「わがほめ」本ばかりだ。アジアの国々を見下す内容の本もよく売れている。

外国や異文化に対する好奇心の衰えは、知的後退の表れだと私は考えている。外国や異文化について学ぶことは、それを100%無批判に受け入れることではない。異文化との接触は、むしろ日本について考えるためのヒントを得ることに繋がる。自分と異なる物についての情報を拒否、あるいは無視する態度は、視野を狭くするだけだ。

(中略)

私は日本と中国に詳しいスイス人から「日本は国際情報・知識への貪欲さ、語学力において、中国に完全に負けている」と言われたことがある。私も過去28年間の経験から、同様の感想を抱いている。日本人として、非常に残念である。

イスラエルがすごい」第5章228ページより

終わりに、筆者はこのように結んでいます。

「ドイツから日本の社会や経済を見ていると、特に21世紀に入ってから、かつてのようなダイナミズムが失われていることを感じる。

多くの人が年上の人や周囲の目を気にしすぎるために組織が硬直化している。(中略)

「出る杭は打たれる」と言う空気が、今も日本社会を覆っている。(中略)日本の外では、各国がいかにして優秀な頭脳を招き寄せるかについて苦心惨憺している。私が住むドイツも、高技能を持った人材が不足していることから、外国から高学歴の移民を積極的に導入しようと努力している。(中略)

日本に住んでいると、このような動きになかなか気づくことができない。

本書を通じて、日本の外で繰り広げられている、生き馬の目を抜くような頭脳争奪戦と、世界秩序の大きな変化に気づく日本人が1人でも増えれば、私にとっては望外の幸せである」

私がこの本を読んで思ったこと。

「他を知る」

ことがとても大事だと言うこと。薄っぺらい感想かもしれませんが、心からそう思いました。

なぜ他を知るのが他大事なのか?筆者も述べているように、それは”知的”な行為だからです。人間から知的行為を奪ってしまうと何が残るのでしょうか?何になるのでしょうか?私は、他の動物をなんら変わらない生物になる気がしてなりません。

世界と戦う、というのは戦争を意味しているのではありません。健全な戦いがあると思います。技術力だったり文化だったり・・何一つ貢献できていない私が偉そうなことを言うのもなんですが、これだけ日本は遅れていると言う実感を、早めに持ち、個人的には教育からテコ入れしていく必要があると感じます。突拍子もないことかもしれませんが、まずは幼稚園保育園小中学校の先生方の賃金をあげ、優秀な人が入りたくなる環境にしなくてはいけないと思います。

それは、日本が大きく世界と遅れをとっている大きな要因の一つに教育があると考えるからです。

私は教育者ではないので専門的なことは分かりません。ここで書くことはあくまでも日本で主に育った人間の経験と感覚と思ってください。

小学2年生から高校卒業まで愛知県内の公立学校に通った私が感じるのは、日本の教育はマニュアル通り、正解があって当然、考える力よりも「周りに合わせる力」「正しい(と思われている)解答を暗記する力」が養われていると言うことです。

でも本当に大切なのは、人と自分は違う能力や体力や志向があって、その中で自分が幸せになる術を習得する力なのではないでしょうか?自分にとって何が幸せなのか?を考えることも含めて。

自分で考えて解を見つける

ことが一番大切なのではないでしょうか。

もちろんその過程では読み書き計算ができないと生きていけませんし、学力はとても重要です。(余談ですが、私は中学時代、部活動や生徒会活動、その他学校行事に疲れ果て中2の勉強が全く頭に入っていません。とっても後悔しています)

その点では、日本には義務教育という素晴らしい制度があります。高校時代にアメリカに留学していた友人によると、アメリカは大学からはレベルが高いものの、貧富の差が激しいので小中学校は地域によってかなり学校の質に差があるとのこと。日本の教育制度はすごいとのことです。

一方、教育とは何か?先生達の本来の仕事とは何か?を今一度見直すべき時なんだと強く思います。

私が今でもよく覚えているシーンにこんなものがあります。中学時代、数学が好きだった私。応用編の問題がわからなくて数学の先生に聞きに行ったところ少し眉間にしわを寄せて、「ここはテストに出ないからやらなくていい」と一言。驚愕でした。それまでその先生の教え方はマニュアル通りで正直つまらないなと思っていたものの、それなりに教えることに情熱があるのだと思っていたので「あ、この人は本当にやる気がないんだな。しかもこの問題、きっと解説できるほど理解していないのだろう」と完全に引いてしまったのを覚えています。

もちろん全ての先生がそうとは思いません。しかし、身近な友人知人の話を聞くと、情熱のある人から変えられない現実に落胆して転職してしまっている。こんな悲しい現実あるでしょうか?

つらつらと書かせていただきましたが、まずは今の自分ができることから始めたいと思います。その中の一つに、こうしてブログや音声配信にて、私の言葉で大切だと思ったことをシェアさせていただく、と言う物があります。

私は筆者・熊谷徹さんの魂の込もったこの本書に強く心を打たれました。そして熊谷さんもおっしゃっているように、一人でも多くの日本人が、現実に気づき、できることから行動していくその積み重ねが大きな力になると信じています。

イスラエルがすごい」

と言うタイトルを見て手に取る若者は多くはないと、失礼ながら思います。だからこそ、一人でも多くの誰かに届くといいな、と言う気持ちを込めてこの記事を書かせていただきました。この内容は後日音声配信でも流します!

長文、最後までお付き合いいただきありがとうございました。