東山魁夷展へ行ってきました。#2
本当にたくさんの作品が展示してありました。一つ上の階に上がると、これまで風景のみを描いていた作品から一変、突如白馬が現れます。作品名は、「白馬の森」。
”頭の中に突如としてあわられたのが白馬でした。
(白馬は何の象徴ですか?)
それはみる人の自由です。”
これを聴いた時、ある一冊の本を思い出しました。ある一線を超えた方々には突如、降ってくるアイデアやモノがあるのだと思います。
また、その見えた白馬は何の象徴なのかという問いに対し、「みる人の自由です」と答えたという東山さん。ナレーションの世界でも同じだなぁ・・・と。我々の仕事は、創り上げた人物や情景を伝えることではなく、言葉を紡ぎ、意味を伝えることで、視聴者の頭の中でイメージを楽しんでもらうことです。僭越ながら、表現者としてのスタンスに共感しました。
続いて目に入ったのが「白い朝」。東山さんの肉声より一部を記載します。
”長年自然と対峙してきて思うのは
望んで生まれた人はいないし、
望んで死ぬ人も多くはないので、
人は生かされていると言えるのではないでしょうか。
全て根っこで繋がっているような気がするのです。”
長い間、真摯に自然と向き合ってきた人だからこそ出る言葉なのだと思います。一般論として、人は望んで生まれないし死ねない、だから生かされている、だから生きなきゃいけない感謝しなきゃいけない、、と聞くこともありますし、私も1回くらいは似たようなセリフをどこかで言ったような気もします。
けれども、ここまでの人の口から出るこの言葉。重みが違いますし説得力が圧倒的に違います。正直、生まれて初めて「人は生かされている」んだな、とすっと心の底から納得しました。
もうすでに胸が十分すぎるくらい熱く、いっぱいだった私がついに涙を流してしまったのは、東山さんの最期の作品、「夕星」を見た時でした。
サインをしては塗りつぶし、なんども何ども書き直したと言います。正面に佇む4本の杉の木は、東山氏の亡くなったご家族でしょうか。という解説に、あぁ、きっとここに召されていかれたのだなぁと感じ、気がつけば涙が溢れていました。
最後まで、筆を撮り続け、自然と向き合い、様々な葛藤と向き合い、人々に感動と勇気を与えてくださった、東山魁夷さん。
ただただその絵の美しさに感動しただけでなく、本物としての佇まい、知性と品格を感じました。そして何よりこれから生きていく勇気をいただきました。
こんなにも心が震えたのは数年ぶりかもしれません。
連れて言ってくださった義両親に感謝です!
まだまだひよっこな私。純粋と愛を根底にもち、努力を継続し、新しい感激を持ち続けていきます!